普通の科学者の気持ちを代弁すると…

これはニセ科学論者達への叱責である。ニセ科学論者は、日常的に科学的思考を発揮すべきだと主張する。それは、まったくの間違いである。科学的思考は科学という囲い込まれた場で発揮されるものである。
多くの優秀な科学者は、研究の過程、及び、学会発表や論文執筆などにおいて科学的に考える。しかし、それらの状況を離れて日常的な場面で科学的思考をしている訳ではない。普通の科学者は、科学的思考をすることをそれらの場を離れて他人から要求されれば、迷惑に感じるものである。
多くの科学者は、タレント的な活動をする一部の科学者を見て「彼らが科学的に考えていないこと」を当たり前のこととして受け取っている。なぜなら、タレント活動は科学の場から離れた活動であるからである。また、それを見る一般の視聴者の多くが「彼らが科学的に考えていないこと」を驚くでもなく、怒るでもなくごく普通に受け止めていることに多くの科学者達は安堵を感じている。そう、自分の知人が「自分が科学的思考を普段はしないこと」を当たり前のこととして受け止めてはくれないようになり、『あの人がこう言ったのだから、それが科学的な考えなんだろう』と思うようになるとしたら、それは多くの科学者にとって悪夢以外の何物でもない。
それに対して、ニセ科学論者が「一部の科学者が(科学の場から離れた場で)科学的な思考をしない。非科学的な言動をしている。」と言って非難しているのを見るととてつもなくうんざりするのだ。属性の一部として科学者であるというだけで(科学から離れた場であるにも拘らず)科学的な思考をすることを要求されるのは、まったくうんざりである。
君達が科学の世界を離れた日常的な場で科学的思考をしたいと思うのは勝手である。だが、それを他人に要求するのはお止めなさい。科学的な思考は科学の場において要求するものである。